わんちゃんの心臓病のお話
こんにちは☆
そら動物病院では新しく循環器(心臓病)の専門外来がスタートしました!!
専門医による循環器に特化した診察・検査を実施し適切な治療をご提案します☆
毎月第4日曜日の午後の診察時間が対象となります
予約制になりますのでご希望の方は診察の時、またはお電話でご予約をお取りください
今日はシニアのわんちゃんに多い心臓の病気『僧帽弁閉鎖不全症』についてお話しします
《そもそも心臓ってどんな臓器なの?》
わんちゃんもねこちゃんにも人間と同じ作りの心臓をもっています
心臓の大きな役割は縮んで膨らんでを繰り返し、そのポンプ機能で全身に血液を送る事です
心臓は右《右心房・右心室》と左《左心房・左心室》に2つずつ、大きく分けて4つの部屋にわかれているのはご存知でしょうか?
全身に酸素を届け終わった血液は心臓に戻り右の『右心房』集まり『右心室』を通って肺に送られます
肺に入った血液は肺で酸素酸をたっぷり吸収して『左心房』に戻ってきます。さらにそこから『左心室』を通ってまた全身に酸素を届けるべく旅立っていくのです
この動作を1秒間に1回以上のペースで全身に血液をおくりだしている心臓の力はすごいですよね!!
少し難しい話になってきましたが、ここまでは大丈夫でしょうか?
この左右の『心房』『心室』の間にはそれぞれ“弁”と呼ばれる扉があり、血液が逆流しないように拍動と共に上手に閉じたり開いたりしています
心臓の左側の心房と心室を区切っているのが『僧帽弁』と言われる弁です
この弁が加齢と共に閉まりが悪くなってしまい、本来は一方通行である血液が逆流してしまう事
これが『僧帽弁閉鎖不全症』です
《どんな病気なの?》
その弁(扉)の閉まりが悪くなり、逆流してしまうとどうなるのか
本来なら一定の量しか入らない心臓の部屋ですが、送り出したはずの血液の一部が戻って来てしまうと、容量がオーバーしてしまい負担がかかります
量が多くなってしまった分、次の拍動で送り出すためには通常よりも大きな力が必要になり、心臓は頑張ります。
頑張った結果、心臓はどんどんと大きく膨らんでしまいます
心臓が大きくなるとその近くにある気管を圧迫し咳が出たり、十分な血液を体に送る事ができず酸素がたりなくなり少しの運動や興奮で苦しさを感じやすく(酸欠状態)なります
この状態が進行すると、送りきれない血液は行き場を無くしジワジワと心臓から肺に漏れ出し、溜まってしまう、いわゆる『肺水腫』を引き起こしてしまうのです
本来は酸素で満たさなくてはならない場所に水があるので、十分な酸素を取り込めず苦しくなり溺れた状態になってしまいます
《どんな症状が出るの?》
「最近咳をする」「なんだか元気がない」「あまり散歩に行きたがらなくなった」
これらは心臓病が分かった動物の飼い主さまの言葉です
心臓が大きくなった事が原因によるセキや、酸素不足からの苦しさで元気がでなかったり、苦しくなるのが分かるからあまり運動をしたくなくなる子がいます
我が子のちょっとした変化に気がつく事が大切です
《原因は?予防方法はあるの?》
特に8歳を過ぎたシニア期の小型犬に多くみられる病気ですが、具体的な原因や予防方法はありません
私たちが歳を取るように心臓も歳を取ります
白髪が増えるのと同じように、老化現象が心臓にも出てしまうのです
早期に発見し、早期に治療する!
心臓に負担をかけない食事や心臓の動きを助けるお薬を使いながら健やかな日々を送るのが一番です
少しでも快適に穏やかに一緒に過ごせる時間を増やす事が目標になります
《最後に》
私の先代の犬も心臓を患っていました
毎日のお薬や点滴は欠かせませんでしたが、それでも気分の良い日はゆっくりお散歩したり、塩分の少ない野菜や鶏肉を食べたりと穏やかな日々を送りました
そしてごはんをしっかり食べられた時はいっぱい褒めて、お薬を飲めた時もいっぱい褒める
時間のある時は寄り添い病気を悲観するよりも、今穏やかな時間を共に過ごせる事を喜びました
命は永遠ではないからこそ本当に尊いものです
私も今共に暮らすわんこ達と1日1日を大切に過ごしていきたいなと思います